1960年のNHKによる短編映画「街の女性の服と色と」。
(↑タイトルはこちらが正しいようです。)
レトロ好きなため
たまたまおすすめされた動画を
興味深く見ていたのですが
11:48ぐらいからのくだりで登場する
見るからに才気あふれる、理知的な美しさの女性に目が釘づけに。
彼女の名は 中林洋子(なみこ)さん。
残念なことに
既に2001年に80歳でこの世を去られていますが、
調べずにはおられないぐらい
インパクトのある存在感です。
知り合いのお嬢さん(という設定の多分モデルさん)に
サラサラっとデザイン画を描く洋子さん。
用いる筆記具は、
その頃発売間もない
内田洋行/寺西化学工業の
マジックインキ。
そう、こちら↓
恐らく その当時の最先端!
今見ても 素敵なデザインだと思います。
完成したスーツの
ウエストあたりに
クラシカルなシルバー・ブローチでアクセントを添えて。
(なんとなくこれはジェンセンぽい気がします。)
撮影時のスタイリングも
もちろん彼女自身によるものなのは
間違いないでしょう。
シンプル・シックと見せかけて
裏地はこの鮮やかな紅絹!
彼女のアトリエはこんな感じ。
真壁なのは もともと和室だったお部屋だからなのでしょうが
柱や鴨居・長押を
こんな淡いミントグリーンに塗装するなんて…!
今ならそんな人も居なくはないと思いますが、
これは昭和35年ですよ。
自分のセンスに絶対的な自信がないとできないこと。
ファッションのみならず
インテリアやブックデザインなども手がけた
時代の寵児でいらしたようですが、
もっと早くに生まれて 同時代を生きたかった!
作品の息吹にリアルタイムで触れたかった!
…と心から思います。
ヤフオクで
彼女の自伝「セピア色の日々」を手に入れ
このところ少しずつ読ませていただいているのですが、
彼女の紡ぎ出す文章も
アートワーク同様 とても素晴らしいのです。
「貴女のためのアイディア」という
素敵な素敵なスタイルブックも遺されているのですが
こちらはほとんど市場には出回らなさそうで…
当時手に入れた方、また譲り受けられた方が
ほぼ手離さずに宝物として大事にしておられるのではなかろうか…
と推察しております。
https://made-in-wonder.com/item_detail.php?item_id=585
いつか機会があれば じっくり拝見してみたいなぁ。
痛快なのは、
流行色というものを構成上の縦糸にして作っている映像作品なのに
この洋子さまは
「流行色なんてものは無い。
そんなものにあるのは 売らんかなの思惑のみ。」
とバッサリ斬り捨てていること!
格好良過ぎます…!